マネーの公理 投資を始めたばかりの人向けの本だが中上級者でも読む価値のある投機についての本
投資本
以前に『実践生き残りのディーリング』と『投資で一番大切な20の教え』の書評を書きましたが、これらと同じく投資に対する取り組み方について書かれた投資哲学本です。
冒頭に書いてあるのですが、マックス・ギュンター氏は『その手法を問わず全ての投資を投機』としています。
それに習って、この記事内ではこれ以降『投資』という言葉は使わず、『投機』という言葉で書かせて頂きたいと思います。
マックス・ギュンター氏はかつてスイスの銀行家であり、彼の父もまたスイスの銀行家だったそうです。
この本は、そんなマックス・ギュンター氏の父であるヘンリー・ギュンター氏と、その友人たちが体系化した『投機』のルールリスト(俗にチューリッヒの公理と呼ばれる12の公理と16の副公理)について記された本です。
そもそもチューリッヒの公理が体系化されたのは、幼き日のマックス氏が父ヘンリー氏に「僕は手堅い株で儲けようとしているのに儲からない。なのに父さんはどうして分けの分からない株で設ける事ができているのですか?教えてください」と問いかけた事が切っ掛けです。
幼きマックス氏のこの何気ない質問から、ヘンリー氏は自身の儲けの仕組みを明確に言語化できない事に気付きます。
そして言語化してみようと試みます。その結果ルールとしてリスト化されるに至った訳です。
なので非常にわかりやすい。もちろんマックス氏の文章の上手さ、翻訳者である石川さん、監訳の林さんの上手さもあります。とにかく読みやすい。
公理の説明のために伝説の投資家ジェシー・リバモアやジェラルド・M・ローブなど実在の投資家や一般投資家などの例が引用紹介されている点も良い点だと思います。
投機になれてきた中上級者が読んでも、面白い理由の一つがこの投機家列伝的な側面が加味されている点と、自身の哲学に歪みが生じていないか?を見直すのに役立つからです。
このマネーの公理は手法を問わず、市場に参加する人、全てにオススメできる良書だと思います。